「よく辛抱がききますね。」と問わずにおれない尊敬するある経営者に「なぜ、そこまで、辛抱がきくのですか?」と尋ねた時の話。多くの従業員が、安心して育つ景色の奥で、水が絶えない優しさのダムのような人だ。
「若いころ出向で来たエリート社長が資金繰りでどうにもならない時、仕入れ先の小僧に、目の前で突然、ガバっと土下座してね、「1か月だけ、あと1か月だけ待ってください」と頼み込んだことがあってね、それで会社が潰れなかった。あれを思えば、こんなんたいしたことない、でずっと来たなあ。」とおっしゃった。
かつての社長という人の人となりにも想いを馳せたが、改めてしみじみと、その答えの奥に深く波々と優しさが醸造されていることに感動した。
人によっては、「あんなエリートがこんなんせんとあかん会社、やってられへんで」になるだろう。時代ではない、人によって、だ。
どの景色に、どう胸を打たれるか。
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